横浜大洋ホエールズ(現 横浜DeNAベイスターズ)、中日ドラゴンズで活躍された谷繁元信さんの『谷繁ノート 強打者の打ち取り方』を読了。
サイン本購入機を捉え
入手していた一冊。
打撃職人たちとの攻防
本書は
“「こういうタイプの打者には、こんなリードをするんだよ」と机上で語っても、あまりに漠然としていて理解するのは難しいだろう。
ならば、具体的に選手を抜粋して、攻略するほうが、実践的で現実味がある。
私が現役時代に対戦した「打点王」「首位打者」「本塁打王」「盗塁王」を中心に、並いる強打者・巧打者に絞って40人に厳選した(私がずっとセ・リーグに在籍していたため、セ・リーグの打者が中心となってしまうことをお許しいただきたい。)”(p4-5)
との前提から上梓された著書で、俎上に上げられたのは
” 打席に入るとき、必ず「わかっているな」と捕手の私にひと言。つまり、「シュートを投げさせるな」ということ。若い私たちはバッテリーは結果を出さないと次がないので、困ったらシュートの連投だったが・・・(笑)。(50打数9安打、打率.180)”(p25)
という稀代のスラッガー落合博満さんに始まり、
” 捕手から見て「思い切りがいい」打者は、配球を読んで狙い球を打つ。打者が自分の中で本当に狙っている球種がカーブだったら、わざとストレートを打ってファウルにすればいい。そのあと「ああ、打ち損じた」と、ひとり言を言う。
そうすれば捕手が(ストレートを狙っているな)と思って、次にカーブを投げさせたところを狙い打ちする。今岡君はそういう駆け引きもする打者だった。”(p81-82)
と絶頂期は
” 1番打者では難しいと言われる首位打者(打率.340)、05年はポイントゲッターの5番打者で147打点を叩き出し、打点王。”(p80)
と戦力が充実していた一時の阪神タイガースを牽引した今岡誠さん(現 一軍打撃コーチ)に、
” 投手にもよるが、外角低目主体になるだろう。もしくは打ち損じを待つ。ただ、好打者が「打率3割・打ち損じ7割」のところを、前田の場合は「打率5割・打ち損じ5割」の覚悟で臨んだ。好調のときは打率5割を打つのではないかと感じていた。”(p162-163)
と「天才」の称号がついてまわった前田智徳さんに、錚々たる面々。
タイトルから内容は想像出来たものの、引退後とはいえ「あいまみえた者同士の生々しいことは・・」との思いもあったものの
” 松井君の弱点の「内角」とは、高さ的に言うと、ベルトより少し高目だ。
内角が打てないわけではない。弱点と打てる箇所は紙一重。少し甘くなったり、少しキレがなかったりすると、あれだけの打者だからやはり打つ。でも、外角の甘めの球へのバットの出方よりも、内角のほうが私には窮屈に見えた。”(p93-94)
と踏み込んだ(と感じられる)記述もみられ、球界を代表する捕手目線での野球本、興味深く読了に至りました。