ノンフィクション作家 田崎健太さんの『ドラヨン なぜドラフト4位はプロで活躍するのか?』を読了。
先月(2019年10月)に開催された出版記念トークイベントで入手していたもの。
本書に登場するのは
CASE 1 桧山進次郎
CASE 2 渡辺俊介
CASE 3 和田一浩
CASE 4 武田久
CASE 5 川相昌弘
CASE 6 達川光男
とプロ野球ファンにとってはお馴染みの元選手。
濃淡分かれる「4位」の刻印
上記6選手の幼少の頃から、高校時代をはじめとして学生時代の新聞記事も引用されての活躍ぶりなどから
ドラフトで指名を受けた時など克明に記されています。4位指名について
“「もう、めちゃめちゃ嬉しかったですよ。四位だっていうのは全然気にならなかったですね。プロに入れるだけで嬉しかった」”(p117/ CASE 03 和田一浩)
という振り返りがあれば、本書に登場する元選手への声がけ段階で、
” 取材の申し込みを始めてすぐにドラヨンたちは、その順位に対して複雑な感情を持っていることが分かった。
・・中略・・
ドラフトに指名されるような選手は、それぞれ己の力量に自信があるものだ。何年代の選手と引き比べて自分の評価はこんなものなのかと落胆した。
という過去は人生という白い絨毯にこぼれた赤ワインのようなものかもしれない。
その屈辱の色は軀の奥底まで染み込み、輝かしい成績を残しても消し去ることはできない。”(p6-7)
と、一般人の感覚ではプロから指名を受けることだけで凄いことですが、
指名を受ける立場では(誰であるかは不明ながら)プロで名を残す活躍をしても、受け止め方には大きな開きがあるというデリケートなものである様子。
本書に登城するのは4位指名を前向きに捉えている元選手たちということに。
ドラフトされ、されてから
本書でタイトルになっている「なぜドラフト4位はプロで活躍するのか?」に対する回答としては
” 「(上位指名というのは)みんないじりたがる。俺が良くしてやったと言いたがる。特に高卒のドラフト一位っていうのは色んな人が色んなことを言うので混乱してしまう」”(p90/ CASE 2 渡辺俊介)
や
” 「この中で生き残っていくには何をやったらいいのかっていうのは、毎日練習しながら考えてましたね。」”(p201/ CASE 5 川相昌弘)
の部分に集約されているように感じましたが、
その他の部分でも達川光男さんがドラフト指名を受けるに当たって
” この怪我によりスカウトの評価がさらに低くなった。
「もう一気に下がった。恐らく元々は一位、二位の評価じゃった。それが眼が悪いことと膝を怪我したことでぐんぐん落ちた」”(p256)
という裏話しなど、
本書で初めて知ることも多く、ドラフト中位指名を斬り口にした視点とも、プロ野球ファンとして読み応えある一冊でした。