適菜収さんが憂う保守の劣化とB層:『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』読了

哲学者 適菜収さんの『ミシマの警告  保守を偽装するB層の害毒』を読了。

先月(2019年8月)参加した舛添要一前東京都知事の『ヒトラーの正体』刊行記念トークイベント時に入手していた一冊。

<< 2019年9月7日投稿:画像は記事にリンク >> 舛添要一さん、適菜収さんが交わした政治の在るべきところとメディア等々:『ヒトラーの正体』刊行記念「「ヒトラーはいつだって甦る ― 永田町のバカへの警告」」トークイベント参加記

保守が叫ばれども

” 結論から言うと、もうダメでしょうね、日本は。”(p5)

と、これは上記トークイベント時にもおっしゃられていたことですが、

日本に対するショッキングな評価に始まり、

” なぜ今の日本はおかしくなったのか?なぜ今の世の中バカばかりなのか?そういう疑問を持ったとき、三島が残した膨大な量の評論は非常に参考になります。

だから、三島の言葉を振り返りながら、今の世の中、ひいてはわれわれの思考の土俵について考えてみようというのが本書の趣旨です。”(p7)

と本書についての説明が「はじめに  反時代的人間」であり、

第一章 なぜ「保守派」はバカが多いのか

 第二章 ミシマの警告

 第三章 安倍政権を支持するB層

 第四章 だからあれほど言ったのに

 第五章 皇室・神・大地

という章立てに沿って、各所に

” 自分の中にすべての集積があり、それを大切にし、その魂の成熟を自分の大事な仕事にしてゆく。

しかし、そのかわり何時でも身を投げ出す覚悟で、それを毀そうとするものに対して戦う。(以下省略)”(p133)

といった具合で三島由紀夫の言葉の引用があり、論が進められていきます。

本書に頂戴したサイン

なお、本書で定義されている保守は

” 保守とは何か。ひとことで言えば、「人間理性に懐疑的であるのが保守です。

抽象的なものを警戒し、現実に立脚する。人間は合理的に動かないし、社会は矛盾を抱えていて当然だという前提から出発する。

逆に言えば「人間理性を信仰するのが左翼」です。”(p16)

また、B層は

” B層とは、大衆社会の成れの果てに出現した、今の時代を象徴するような愚民です。「マスコミ報道に流されやすい『比較的』IQ(知能指数)が低い人たち」です。”(p51)

となっています。

待ち受ける近未来

月初に読了していた斎藤幸平さんの

<< 2019年9月4日投稿:画像は記事にリンク >> 斎藤幸平さんが、マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソンと論じた現代と近未来:『未来への大分岐』読了

『未来への大分岐』が左派の立場から考える近未来で、今回は保守の立場で考える日本の現在地、行く末ということで

思い出して考えるようなところありながら、本に書かれている次元に至るまで深く考えを及ばせているようなことはなく、

読み進めるに従って示された見解を追っていくような読書となりましたが、顕在化している問題に、後戻り出来ないであろう現状に、決して明るくなくこれからに「う〜ん」とさせられ。


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