女優 寺田有希さんの『対峙力 誰にでも堂々と振る舞えるコミュニケーション術』を読了。
ハウツー本、特に『**力』と題された著書には距離を置きがちですが、昨年(2020年)末、書店に立ち寄った際、
連日(別の場所で本書)サイン本を見付け、
気分が盛り上がり、購入に至っていた経緯。
経験、失敗等を経て見出された術
「はじめに」に入る前頁で
” この本では、私が試行錯誤の中で見つけた「誰にでも堂々と向き合えるになる」コミュニケーションのコツをお伝えします。”
と目的が示され、タイトルに込められた
“「対峙」の対義語は、「回避、逃避」です。逃げない。媚びへつらわない。萎縮しない。
相手を認め、自分のことも認めてもらって話すこと。それが「対峙力」だと思います。”(p25)
に沿って
” 自分がやりたいことに突き進むのは大切です。けれど、まずは、いまの自分に求められることを100%できるようになること。
そうすればスキルを上げていけるし、「自分は世の中から見てどういう存在なのか?」がわかる。”(p031)
MCを務められているホリエモンチャンネルに出演したゲスト等を通じて
” すごい人たちは自分の弱点を自覚して、それを恥ずかしがらずに人に言えます。
そして、その弱点を乗り越えるために、「自分にはできないことだから、あなたに○○をしてほしい」と人の力を借りていく。
だからこそ、この人たちは成功したんだなと気づきました。”(p140)
或いは
” あなたをその場に導いてくれた人がいれば、必要としてくれる人も必ずいます。
大切なのは、その場にいる意味が必ずあると理解した上で、その意味は何か。
自分の才能は何かを考え、その力を発揮しようと必死になることだと思うんです。”(p145)
といった具合、寺田有希さんのこれまでのキャリアを振り返る中で、 仕事、出逢い、実践を通じて得られた学びがさまざまシェアされています。
女優として生きるための決断
印象的なのは、本文に繰り返し出てくることですが、
” できない自分・弱点と、一向に向き合おうとしなかったんです。
そんな昔の自分が大嫌いだし、「お前に人のことを見下すことなんかできないよ、バーカ!」といまは思うんですけど・・・当時の私は、そうでもしないと自分を保てなかったんです。
そんな人生を22年間続けた結果が、事務所からのクビ宣告。”(p138)
と、15歳で芸能界デビューしながらも
その後、低迷してしまい、アルバイト生活を余儀なくされる中、
” そんな葛藤の中で、いまも忘れられない出来事が起こりました。
そのレストランは東京国際フォーラムの近くにあったのですが、あるとき、よく知っている2人が入店してきたんです。
それは、昔、何度も現場についてきてくださったマネージャーさんと、東京に来てからずっと一緒にレッスンを受けていたタレントさんでした。・・中略・・
「この子はタレントで、私は店員。私、何やってんだろ・・・」。ショックと恥ずかしさで消えてしまいたかったです。”(p204)
と、こちらも感情移入させられずにはいられない状況から
“「立て続けに舞台が決まったこの流れに乗らないと、ただのアルバイトとして生きていくことになる」と。
それで私は、思い切ってバイトを辞めたんです。
当時は貯金も全くなかったし、稼ぐ当てなんてないけど、ただのバイトのまま、芸能から離れて生きていくことが嫌で、アルバイトという保身を捨ててしまおうと。”(p205)
と、現在の立ち位置につながる決断を経たくだりに寺田有希さんの生きざまを感じ、「経験をことごとく糧に変えられてきた生き方が見事だなぁ」と、この箇所に最も読み応えを覚えました。