前々回、中間記⬇︎
をアップロードしていたエディー・ジョーンズ ヘッドコーチの自伝『エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー』を読了。
その(中間記)後、読み進めた
第10章 南アフリカをまとめる
第11章 日本代表を作り上げる
第12章 人生の転機
第13章 次なる冒険とグランドスラム
第14章 連勝
第15章 イングランドを再起動させる
第16章 青写真と教訓
第17章 ジェットコースターに乗る
第18章 決勝戦
の中心は、日本代表を率いたラグビーワールドカップ2015及び(日本代表監督退任後)イングランド代表を率いたラグビーワールドカップ2019への取り組みに戦記。
個人的な読みどころとしては、
” 日本の社会はなかなか複雑だ。私の日本語能力はなんとか用を足せる程度でしかなく、それを補おうとするうちに別のスキルが身についた。
感情を表に出さず、面と向かって意見を言うのが苦手な選手たちから言外の意味をくみ取り、彼らの真意を推しはかるのが得意になったのだ。
私はそうした能力を駆使し、竹本ら日本人リーダーの助けを借りつつ、必要に応じてそれぞれの選手が抱く本音に踏み込んでいった。”(p262)
に、
” 選手たちは自分たちの力でチーム内のリーダーを見つけなければならない。だから私は、彼らを普段とは違う状況に置いてみた。
たとえばある部屋に隠しカメラを設置し、そこでミーティングをやるから集まるようにと選手に連絡する。
我々コーチ陣はその部屋には行かず、別の場所から彼らがどのように対応するかを観察した。
またあるときは、選手に特定の場所でチームバスを待つように指示しておきながら、チームバスが絶対に車庫から出ないように手配した。
選手たちは、最初にどうしていいか分からず右往左往していたが、最終的には数人が指示を出し始めた。
彼らは我々が必要とするリーダーシップを示したのだ。”(p267)
因みに同様の試みは
” 近代スポーツの文化的土壌からは、行動力があり自己主張のできるリーダーが育ちにくい。
すべてあらかじめきちんと整備されているので、自発的になにか行動を起こさなくても済んでしまうのだ。
当然、リーダーシップが醸成されなくなる。
リーダーシップを示すには、自発的行動を起こさねばならない。そのためには、なんらかの準備が必要だ。
イニシアチブを示せば、人はついて来る。ところがここのひとつの問題がある。プレーヤーがロボット化しているのだ。
彼らは常になにをすべきかを指示されて動くフォロワーであり、リーダーとは言い難い。誰かが必ず、到着時間や着るべきものまで事細かに教えてくれる。”(p325)
と日本固有の問題ではなく、イングランド代表でも行われたそうで、本文に
” どれほど肉体的なコンディションが良くても、選手の人間性こそが最も大切なのだ。”(p457)
にある通り、ラグビーの競技力向上以前に、こうした人間的資質を見極め、在るべき姿に近づけていくことで、
日本代表では世界を「あっ」と驚かせた南アフリカ代表の撃破に、イングランド代表では自国開催ながら1次リーグ敗退の汚名を払拭する準優勝と、注目を集める結果を出した取り組みが(読みどころとして)興味深かったです。
そしてRWC2023へ
エディー・ジョーンズ ヘッドコーチのイングランド代表での取り組み/戦いの日々は、巻末の高橋功一さんの「訳者あとがき」
” 2019年のワールドカップでの手腕が認められたエディー・ジョーンズは、翌2020年4月2日、イングランド協会から代表ヘッドコーチとしての契約を延長され、2023年のワールドカップまで代表チームを率いることになった。”(p492)
とあり、ラグビーワールドカップ(RWC)2019決勝戦後で終わる本書から更に続いており、2年後、2023年9月8日に開幕するラグビーワールドカップ2023でのイングランド代表に大いに興味を抱かされました。