Tom Hovasse:トム・ホーバス バスケットボール女子日本代表前ヘッドコーチの『チャレンジング・トム』を読了。
先月(2022年3月)に開催された
サイン本お渡し会で入手していた著書。
本書は、
” 私と女子日本代表の選手やコーチ、スタッフが走り抜けた4年間をまとめたものです。第1章では激闘の東京2020オリンピックを振り返り、第2章と第4章では、私たちがどのようにしてチームを作り上げてきたかを24の言葉でまとめています。第3章で私の歴史に触れるのは、女子日本代表を作り上げる上で、私自身の経験が大きく関わっているからです。”(p5)
という内容で、
” 私はよく選手たちに「絶対にヘッドダウンしないで!」と言ってきました。ヘッドダウン。つまり下を向くことです。
悪いプレーをしてしまったからといって下を向いてしまったら、目標に向かって前に進むことはできません。
なんとか足を動かし続けたとしても、よろよろとして、遠回りをするだけでしょう。しっかりと前を向いて進むためにはヘッドダウンしないことが必要です。”(p26)
に、
“「生きていればチャンスはある」ー これが私のモットーです。
それはポジティブな発想というよりも、私自身の経験から来る信念といってもいいでしょう。
選手たちのことも信じています。渡嘉敷がいなくても高田がいる。身長が低い?渡嘉敷ほどはリバウンドが穫れない? でも赤穂ひまわりがいます。宮澤有貴がいます。長岡萌映子もいます。
渡嘉敷ひとりで獲れるだろうリバウンド数を、みんなで獲ればいい。バスケットボールはそれができるスポーツです。”(p50)
といった具合で取り組んだメンタル面の取り組み&強化。更に
” 私は、足の運び方はもちろんのこと、キャッチのタイミングに至るまで細かく、厳しくチェックしていました。間違ったことをすれば、大きな声を出すから、どうしても選手たちは「厳しい」と感じるのかもしれません。”(p143)
や
” 日本はこれまで、男女に限らず国際大会で相手選手の手足の長さに苦労してきました。日本国内ではなかなか感じられない手足の長さに対して、つい国内と同じ感覚でプレーをして、ボールコントロールのミスをしていたのです。
しかし腕の長い選手でも、いや腕の長い選手だからこそ、低いボールに対処するのは難しいものです。だから「ペイントエリア内でパスをするときは、バウンズパスで」というルールを作りました。”(p179)
という戦術面の取り組みに。記載は一例ですが、それらのことが東京オリンピックで世界をあっと驚かせた銀メダル獲得。
また、
” 「みなさん、日本の女子のバスケットボールを見ましたか? あのバスケットボールはすごいですよね。あれはウォリアーズとロケッツの間に生まれた赤ちゃんのようなバスケットボールです。」
驚きました。さすがにNBAのコーチを務めたことのある人だけあって、そこまで見抜いていたのです。”(p199)
と、トム・ホーバス ヘッドコーチが意図したオフェンススタイルのミクスチャが、ジェフ・ヴァン・ガンディ元NBAヘッドコーチの目に留まるスタイルとしてプロフェッショナルの世界でも注目されたことなどが紹介されています。
そして更に注目されるチャレンジ
個人的にトム・ホーバス ヘッドコーチは、日本ラグビーを世界基準に引き上げた ↓
エディー・ジョーンズ ヘッドコーチと重ね合わせてみる感じを抱いていますが、
” 女子日本代表の選手たちが私の練習を「世界一厳しい練習だった」と言いました。”(p141)
と、やはりそこはハードワークの下、オリンピックという晴れ舞台で、それまで戦績の振るわなかったバスケットボール女子を見事にトップレベルに導いた取り組みを知ることが出来、読後納得感を得られました。
そして、
“「なぜ、トム・ホーバスなのか? 彼は女子のコーチだろう?」と。そう思っている方々に2年後、「トムでよかったんだ」と思わせるようなチャレンジをしたいと思っています。”(p88)
と女子よりも更にハードルが高いと思わしき男子バスケットボールでのトム・ホーバス ヘッドコーチのチャレンジ、否が応でも注目させられます。