帯に
「蠱毒の小説集」
と刺激的なコピーが踊る筒井康隆先生の『堕地獄仏法/公共伏魔殿』を読了。
本書には16の短篇が収録されており、
前半は「これ読んだな」というのが多いなと感じ、巻末の日下三蔵さんの「編者解説」によると
” 現在品切れになっているとはいえ、九篇収録の『ベトナム観光公社』から六篇も採ってしまったことは気になっていた。
古本で探すにしても、九篇中三篇しか未読作品のない本を、読者に買わせることになってしまうのは本意ではない。
そこで『東海道戦争』『ベトナム観光公社』『アルファルファ作戦』の文庫版に収録されている二十七篇から、ハヤカワ文庫版に採らなかった十六篇を一冊にまとめたのが、この本なのである。”(p456)
というセレクションで、昨年(2021年)末に『東海道戦争』↙️
を読んでいた経緯などが影響しての感じ方でしたが、
“「馬鹿だな。見てるからこそ金を払う値打ちがないってことがわかるんじゃないか。”(p304)
と痛切にNHKに矛先を向けた「公共伏魔殿」あたりから俄然引っ張り込まれる力強くなり、ページを捲っていくスピードが加速。
収録されている作品のプロフィールを「編者解説」から引用すると・・
” 政治家の矛盾だらけの記者会見を描いた「やぶれかぶれのオロ氏」、創価学会を風刺した「堕地獄仏法」、NHKのあり方を痛烈に批判する「公共伏魔殿」、痴漢冤罪の取り調べがほとんどホラーの領域に達する「懲戒の部屋」、ヴァーチャル・リアリティを遥かに先取りしたようなアイデアの「旅」、文化的相互理解の難しさを笑い飛ばす「色眼鏡の狂詩曲」、どれもこれも現代で通用する題材である。”(p467)
と、掲載作品の発表時期が
” 六二年から六八年までの作品をまとめた本書には “(p466)
ということで、圧巻の先見性を改めて感じさせられ、筒井康隆先生らしさ全開の短篇集といえるでしょう。
一区切り。そして新たに・・
ということで、差し込みしまくりで時間を要しましたが、昨年5月末〜6月 ↓
にかけて連鎖的に購入していた筒井康隆先生本7冊、すべて読了に至りました〜 一方で今月新規で2冊購入、旅路は続きます ^^