筒井康隆さんの『不良老人の文学論』を読了。
筒井康隆さんの新刊ということで「サイン本で欲しいなぁ」と物色していた折、
その機会を捉えて入手していたもの。
最初、何で表紙にベティ・ブープ?と思っていれば・・
” もう三十年近くも昔になるが、小生、幼い頃に見たベティ・ブープを再発見して夢中になり、
十六ミリ・フィルムを買い集めて、自分が見るだけでは満足できずに映画館を借りて上映会を開いたことがあった。”(p53)
という経緯が、本文で紹介。
本書は、筒井康隆さんが『週刊新潮』『群像』など、さまざま寄稿した文章がまとめられたもので、
主軸はタイトルにある通り、文学論。
目立つところでは筒井康隆さんが、谷崎潤一郎賞、三島由紀夫賞の選考委員として携われた中で、
” こんな優れた作家の存在を今まで知らなかった。「直木賞を二度とった主人公」と違って、なんと候補にすら一度もなっていないではないか。
文藝春秋は、選考委員たちはいったい何をしておるのか。”(p230)
と激賞している場合もあれば、その逆で手厳しい場合もみられます。
俎上に上げられている作品の中には昨年(2018)末にトークイベントを共にされた
松浦寿輝さんの『名誉と恍惚』も含まれており、
” なんて懐かしい小説だろう。三年前の春だったか、いつものように眠れぬまま深夜に起きてウイスキーをちびちびやりながら届いていた「新潮」五月号をめくるうち、
この小説の連載第一回に巡りあい、たちまち引き込まれてしまった。”(p60)
という一文から『名誉と恍惚』についての論評がなされています。
筒井康隆さんに誘(いざな)われる文学の世界
紹介されている著書の大多数を読んでいないため、読み進めるに当たって時間を要するところもありましたが、
それぞれについて筒井康隆さんがどう読んだといったことに触れられるので、
上記(激賞例)の佐藤正午さん『鳩の撃退法』など、