筒井康隆さんの『農協月へ行く』を読了。
「筒井康隆展」開催中の世田谷文学館に立ち寄った際、サイン本として買い求めていたもの。
農協月へ行く
日本以外全部沈没
経理課長の放送
信仰性遅感症
自殺悲願
ホルモン
村井長庵
の短編七篇が収録。
購入した時は気付いていませんでしたが
文庫版のタイトルで何回か見かけていた「『日本以外全部沈没』も入っているのかぁ」と、ちょっと得した気分に^^ *小松左京『日本沈没』のパロディ
のめり込み度合いの方は作品によってそれぞれでしたが、
タイトルにも掲げられる冒頭二篇に重きが置かれているものとの先入観に対して
思いのほか、
“”「大川さんや多島さんのように、わたしが自殺をすれば、少しは本が売れるとは思いませんか」”(p131『自殺悲願』)
自殺を仄めかし自作の増版に漕ぎ着けた小説家のその後に・・
” この島には今まで医者がおらず、いわば無医村だったわけで、そこへ先生のような立派なお医者が来てくださったのですから、そりゃもう島の連中大喜びです」”(p187『村井長庵』)
訳あり者が、無医村で色情狂いの歯止めが効かなくなっての挙句の果てに・・
ページをめくる度に惹き込まれていくストーリーの濃さが印象的で、
当初はサイン目当てで手に取った一冊でしたが、
短編でサラッと読める筒井ワールドも楽しめ、読後に期待以上の満足感を得ることが出来ました〜