筒井康隆先生の変幻自在な奇想とドタバタが刺激的なショートショート集:『人類よさらば』読了

筒井康隆先生のショートショート集『人類よさらば』を読了。

(2022年)1月に発売され、「サイン本出たら」と思っていたところその機会に恵まれ

入手叶っていた経緯。

日の目を見るべく選書された短編集

本書には37篇の短編が収録され、SF・ミステリ評論家、フリー編集者 日下三蔵さんによる巻末の「編者解説」によると

” 「出版芸術社 << 筒井康隆コレクション>> などの再編集本に初めて収録された作品 」「既刊の単行本または全集に収録され、文庫化されずに再編集本に入った作品」「これまで一度も本になったことのない作品」を対象にしている。

・・中略・・

本書には、コレクションに入っているが一度も文庫化されたことのない二十五篇を、すべて収めた。

コレクションには、エッセイや関連する資料も大量に収めたので、将来的に無価値になることはないと思っているが、少なくとも小説作品に関しては、手軽な文庫本で読めるようにしておくべきだろう、と考えたからである。”(p299/p304)

との意図に沿って編集されたもので、

購入本に書かれていたサイン

作品で数々の近未来を見通してきた筒井康隆先生の

” 「未来では、通勤ということがなくなるのです。家庭の中がオフィスになるんです。ビジネスでは、会社のコントロール・センターにある親機と直結された端末コンピューター、それに、テレビ電話だけで、用が足りてしまうのです」”(p186)

という件を含む1971年2月号の「就職ジャーナル」に掲載された「更利萬吉の通勤」で、その本領を感じたり、

” 「お前は何も悪いことをしていないじゃないか。何故地獄へ落ちると思うんだね? 契約書を読まなかったのか? われわれ現代の悪魔は、魂なんて無形のものが欲しいんじゃない。

人間の欲望から生まれるエネルギーが欲しいんだ。”(p46)

といったダイアローグを含む「悪魔の世界の最終作戦」に、浅からぬ人間の業といったものを感じさせられたり、

クラリネットについて分かりやすく噛み砕かれて書かれた異色の?「クラリネット言語」など、本書でも変幻自在な筒井康隆ワールドに浸ることが出来ました。


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