サイン本入手に機会に即反応し入手していた経緯。
本書は、
” 映画の中に描かれる運命共同体としての疑似家族を取りあげ、文章として再録することによって小生、読者と共に懐かしい映画の思い出にどっぷりと浸かりたいのだ。”(p4)
と冒頭の「家族と擬似家族」において刊行意図が説明され、
家族と擬似家族
一 「白熱」「血まみれギャングママ」「前科者」
二 ハワード・ホークス監督「ハタリ」の擬似家族
三 ジョン・ヒューストンに始まるボギーの一族
四 西部劇の兄弟
の章立てに基づいて、筒井康隆先生の思い入れの作品について取り上げられています。
滲み伝わる映画愛
「あとがき」に
” 結果として主に筋書きを書くだけになってしまった “(p162)
とある通り、既述の大部分は映画の展開が言語化されたもので、私自身、
ハワード・ホークス監督に、ジョン・ウェイン出演作品は一時どハマりして、紹介作の多くが1950年代前後ながら見ている作品も幾つか含まれているはず、ながらも
如何せん鑑賞時からの時の経過から 「あぁ、あの場面ね!」といった共感に至らず、読み流していく形に。
それでも
” ジョン・ウェイン自身は滅多に歌ったりしない。『ハワード・ホークス映画読本』を書いた山田宏一は「ホークス映画のこうした『ジャム・セッション』のシーンは、映画史上最も幸福感にみちあふれた瞬間だ」と言っている。”(p52)
に、
” 映画ではロイドになっている四男を演じているのがまだ人気の出ない頃のロバート・デ・ニーロであり、これはドラッグ中毒になっていて、湖岸の向こう岸から泳いできた娘を相手にとんでもない怪演をするから面白い。
・・中略・・
推薦されたデ・ニーロも、「彼のキャリアの初期の段階でさえ自分の出演作品に対する献身は明らかで、彼はクルーよりも先にロケ地のアーカンソー州に行ってその地域を見てまわり、アクセントに取り組んだ。
ニューヨーク生まれのデ・ニーロがとても上手な南部訛りで話すので、コーマンが他の出演者たちへの方言指導を頼んだ」ほどであったらしい。”(p29-30)
と本筋から外れる部分かもしれませんが、自分好みの俳優のサイドストーリーは興味深く、何より筒井康隆先生の映画愛伝わる著書でありました〜