週中に、読み始め記↓
をアップロードしていた筒井康隆先生の『大いなる助走』を読了。
読み進めたACT 2の中途からACT 5まで、筒井康隆先生作らしく話しは次第に混沌としていき、
” 小説の基本はなんといってもリアリズムですからね。そのためにはやっぱりあなたの体験を生かしたものでなければ。”(p40)
という指南の下、同人雑誌を作品を載せていた主人公が
” そもそも大企業に勤めるエリート社員たちにとって小説を書くなどという人間が異星人並みの他種族であるところへもってきて、そいつが同じ会社にいたというのだからまったくもって会社の値打や性格までが一変したようにさえ感じられるほどの不条理きわまる情況であり、その上そいつの書いた内容が「自分たちの会社の悪口」なのだから、その男の書いた小説も、その男の不可解な行為も、その男自身も、そして自分たちにとっても、これはもうとんでもない話とでも表現するよりほかないのだ。”(p178)
と書き上げた内部告発小説が、地方同人雑誌から東京の文芸誌に転載され、ひいては文学賞の候補にまでノミネートされる事態に。
ブラックに、そしてカオスに導かれる結末
そこから選考委員の買収を図るも、
” くそ。選考会で何をしてやがった。金をとっておきながら黙殺しやがる。許せん。もっとけしからんのは海牛綿大艦。おれの作品を褒めてる癖に他の作品を推してやがる。責任のがれではないか。卑怯な。こ、こ、殺す。以上五名。”(p292)
と落選の事態に決起して導かれるエンディングは・・ という展開。
最後の最後、タイトルの『大いなる助走』の紐解きも最後なされ、文学界へ投じられた爆弾炸裂の全349ページ、お腹いっぱいにしてくれた読後感でありました〜