筒井康隆さんの『時をかける少女』を読了。
今月(2018年12月)参加した筒井康隆展の「筒井康隆を語る」
で、会場の世田谷文学館を訪れた際、物販ゾーンの一角に本書(サイン本)が販売されており、
機を捉えて購入していたもの。
筒井康隆作品の代表作
『時をかける少女』が筒井康隆さんの作品であることは長く承知していたものの
(未鑑賞の)映画の先入観から無意識的に避けていたようなところがこれまであって、
秋口に読了していた『筒井康隆、自作を語る』で
” だから代表作のない作家なんですよ、結局(笑)。代表作が多過ぎてないというか。
これ一本という作品がある人とどちらが幸せなのかということですね。
このままだと『時をかける少女』が代表作になってしまうので困るなと(笑)。いや、別にいいんですけどね。”(p126)
という件を読み、
「(やっぱり)避けて通れないなぁ」と考えていた折、タイミング良くサイン本入手機会に恵まれたという経緯。
不思議さと切なさと
” けっきょく、時間が一日だけ逆もどりしたのだろうか?十九日の朝が突然十八日の朝にもどってしまったのか?
いやいや、そうじゃなさそうだ。だって外の人たちはみんなひとりとして逆もどりに気がついてはいないではないか ー 。
和子はひとり頭を痛めながら、考えつづけたー 。
するとこのわたしだけ、時間が一日だけ逆もどりしたところにいるというのかしら?そうだ。それならすべてのことに説明がつく。
とはいっても、なぜそんなことになってしまったのだろう。”(p34)
放課後の理科実験室で起きた事件に始まり・・ 切なくなる別れまで。
これまで読んできた筒井康隆作品の中で、「真っ直ぐで純だなぁ」というのが、率直な読後感。
切なさに余韻引きづられのも印象的ですが、
130ページ一気に読める惹き込まされる内容で、筒井作品の代表作に挙げられる(=クセがなく読者を選ばない)のも分かる気がしました。