筒井康隆先生の『ウィークエンド・シャッフル』を読了。
(2021年)5月末から6月中旬にかけて購入していた筒井先生本7冊のうちの一冊。
本作には
佇むひと
如菩薩団
「蝶」の硫黄島
ジャップ島
旗色不鮮明
弁天さま
モダン・シュニッツラー
その情報は暗号
生きている脳
碧い底
犬の町
さなぎ
ウィークエンド・シャッフル
の13作品を収録。
急展開、カオスな・・
八人組みの主婦団が、金持ち宅にアポなしで往訪し、
“「申し上げにくいんですが、実はあの、わたくし共は泥棒でございます!」”(p34)
の一言から劇的に場面が緊迫していく「如菩薩団」に、
“「ひゃあーっ」女房の、悲鳴とも嘆声とも歓声ともつかぬ声がし、続いてどしんと女房のでかい尻が玄関の間の畳の上に落下したための地ひびきが家をがたがたと顫動させた。
三和土には弁天さまが立っていた。
「これはまあ、あなたは弁天さま」おれもへたへたと腰をおとし、女房の隣りでべったりと正座した。”(p112)
と弁天さまの宅訪を受けたことに始まるよもやの事態に・・ 圧巻は週末、主婦がひとり過ごす自宅に突如かかってきた
“「じゃ、しかたがないな。奥さんでもいいや。そのかわり、よく聞いてくれないと困るよ。実はね、あんたの子供を預かっているんだ。誘拐だよ。」”(p226)
と知らせる電話から暗転、そこから泥棒襲来に、学友の来訪が重なりカオスな展開繰り広げられる「ウィークエンド・シャッフル」。
奔放なる設定、展開、そして・・
筒井作品らしく何でもあり、これどうやって終わらせるんだろう?!といった設定、混沌等からエンディングに導かれていきます。
また、故景山民夫さん(放送作家etc)が、
” とにかく、筒井サンから僕が教わった最大のことというのは「世の中、ちゃんと徹底してやるんだったら、やっちゃいけないことってのは何も無いんだよ」という精神であって、
それは同時に「先人はああやっているからといって、なにもその通りにやらなきゃいけない必要なんかなーんにもないんだぜ」という意味を持つのである。”(p283)
といった賛辞を寄せられている巻末の「解説」も読みどころ。
一話あたり20ページ程度で、細切れの時間でもさくさくと読み進められ、消化度は作品によってまちまちながら、変幻自在な展開から導かれる結末に一筋縄では行かぬ読後感を覚えさせられた作品集でありました〜