先週末、中間記
をアップロードした内田也哉子さんの『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』を読了。
後半に(対談相手として)名を連ねるのは
石内都
ヤマザキマリ
是枝裕和
窪島誠一郎
伊藤比呂美
横尾忠則
マツコ・デラックス
シャルロット・ゲンズブール
の8名(敬称略)。
写真家 石内都さんの
” 生きていくというのは選ぶということだからね。その選択というのは無理やりにはできなくて、選択せざるを得ない状況になるわけだよね。その時に、右と左のどっちを選ぶかは感覚みたいなもので、それが本当に正しいかどうかはわからない。
自分が選んだこと、自分が決めたことは自分が全責任を取れるから面白いの。”(p173)
に、マツコ・デラックスさんとの
“「そもそも究極の幸福を感じたことがないし、絶望をしたこともない。それはコンプレックスのひとつね。そこを知らないと到達できない域があるはず。
だから、極端な域にまで振り切れることができるような自分勝手な人に、私は永遠に憧れているの。私自身はつまらない人間なのよ」
そうだとしたら視聴者たちは、なぜにこれほどまでマツコ・デラックスを求めるのか。
「中庸をやりすぎている人間というのも、面白がられるのかもしれないわね」”(p264)
といったダイアローグに刺さりもありましたが、
” 私は物心ついた頃から、自分の存在が独立した「個」というより、どこか樹木希林と内田裕也の一部であると潜在的に感じてきた。だからまっさらな状態で、誰かと何かを始められる日本ではない居場所を求めて、小さい頃から異国を転々としていたのかもしれない。”(p282)
あるいは
” 本音を言えば、この連載は母や父という自分の中で大きくなりすぎた存在からの独立の願いも込めて始めた。出会う相手と話すテーマや形状は自由でいいという意味でも、ひとりでまっさらにはじめるBLANK PAGEと名付けた。
故に、人と会いエッセイを綴ることもあれば、人と会わずに旅をし、つれづれ書いてみたり、対談して放った言葉を文字起こしすることもあり、5年に渡る心情のコラージュとなった。”(p285-286)
といった心の軌跡に言及された本書〆の「あとがき」に最も重みを覚え、果たして辿り着いた旅の終着地もまた興味深かったです。