俳優 梅沢富美男さんが詠んだ俳句の名作選主体に構成された『句集 一人十色』読了。
(2023年)6月に開催された重版記念サイン本お渡し&ツーショット撮影会で入手していたもの。
本書は、テレビ番組「プレバド」をきっかけに俳句の世界に触れられるようになり、
傑作選五十句に加え、指南役の夏井いつきさんとの
” 夏井 私はしばらくの間、梅沢さんは役者の習い事の一つとして俳句をなさっていたのかと思っていたんですよ。
随分後になって、実は作ったことはなかったということをお聞きして。俳句の「五・七・五」につながる、七五調や五七調のリズムがセリフ回しで身体に染み付いていて、韻律の問題はすでにクリアしていらっしゃったんでしょうね。
他の人は指折っては、「五にならない」とかブツブツ言っていたりしています。韻律は簡単なように見えて身体がそのリズムを覚えるまでに時間がかかるものなんです。”(p69)
と門を叩いた時点で素養が身に付いていたとの回想に、
” 梅沢 それが・・・、入口はよかったんですがセリフのように言葉を並べるので語順が悪いと、もう夏井先生に何回も何回も叱られて。”(p69)
という教わる側からの苦労談が交差する対談に、
” 俳句にはそれぞれの感性が映し出されていて、そこが詠み手に響くよさになる。普通に考えると十七音で自己紹介はできないですよね。
それが、俳句であれば十七音で人となりを映し出せる。ここが俳句のおもしろいところですよね。”(p99)
と既に永世名人の称号を付与されている梅沢富美男さんが感じられた俳句の醍醐味について言及されているところが読みどころ。
番組名程度は承知しておれども、俳句に馴染みなかった身には深い楽しみを覚えるには至らなかったものの、
” 十七音に無理やり自分の気持ちを入れ込みたくなってしまった時期があって。「それは季語に託すんだよ!」”(p70)
という夏井いつきさんと梅沢富美男さんとのやり取りから俳句の真髄とともに、「プレバト」や梅沢富美男さんのような著名人の功績から、この世界の盛り上がりの一端を知れたことも学びとなりました。