ジュンク堂書店 池袋本店で開催された「週刊文春がスクープを取れる理由」と題されたトークショーに参加。
先日読了した『文春砲』刊行記念で開催されたもので、
登壇は『週刊文春』の新谷学編集長と渡邉庸三特集デスクの同編集部の両輪を担うお二人。
マスコミの信頼性が揺らぐ中での危機感
普段、(編集部の方々が)書店を含め一般の人たちと接することはなくレアな機会であった模様。
オフレコ前提とのことで実名が次々と飛び出し、中には本に書けなかったことの続きといった展開も ^^;
信義則からそれらについて紹介することは出来ませんが、差し障りのないところで、要点に感じたことを引っ張り出すと・・
上掲の『文春砲』の他、新谷学編集長の『「週刊文春」編集長の仕事術』と
『週刊文集』内部から出版が相次いだのは
世の中に拡散される情報で(丹念な取材などに基づいた)完全な事実と(知られたくない側の)コントロールされた事実のダブルスタンダードとなっており、
読者が何を信じたら良いのか分からない状況となっている中、
丹念な裏取り取材の模様など書籍を通じて取材プロセスを見える化を図り、「文春に書いてあることは本当」と認識されるようにするとの狙いから。
インターネットの普及で、ネット上で特定のトピックが燃え上がる一方、TVなどメディアによっては一切触れられないという状況が、いまも散見され、
情報を管理したい側のコントロールが効かなくなっているものの、二つの事実が示されしまうというマスコミの信頼性が揺らいでいる現状に危機感を覚えての背景があってのこと。
「過激にして愛嬌あり」の精神
また、取材時の裏話し的なところでは、各世界でドンとして君臨している方々と接する中で(これらの人たちに)強面の面はあれども愛嬌のある人が多いというお話しがあり、
人の懐に飛び込んでいき親しくなることは大事だが、記事にする時に関係を壊れてしまうようなことでも書くことを躊躇することがあってはならない。
そこで関係が壊れても、また仲良くしていく努力は必要で、その際に求められるのが愛嬌。このことは本人が優秀であるか否かであるよりも重要であると。
或いは組織論的なところで、リーダーはとにかく明るくないとダメという指摘があり、ちょっとしたことで組織の士気が下がってしまうし、スクープも生まれなくなる。
上が明るくないと下でついていく人が可哀想といったお話しもあり、取材プロセスも細やかながら、編集部内の雰囲気づくりにも配慮されている様子が、お二人の雰囲気からもよく伝わってきました。
『週刊文春』のリアル
19:30に始まったトークショーが、後半に設けられた質疑応答を含め閉幕を迎えたのは21:00過ぎ。
私自身、雑誌の編集現場に携わられている方を目の当たりにする稀有な機会で
しかも今、世間の注目を集める『週刊文春』の現場を仕切られている方々が登壇されるというところに参加の動機がありましたが、
最後、新谷学編集長が
「この8年間、編集長になってから(好きな)お酒を一滴も飲んでいないし、タバコ、女性も・・」といったことの後に、
「週刊誌作りに携われていることが楽しくて仕方がない」の言葉がとても印象的で、
人への尽きない興味、社会に対する使命、ときに示された覚悟といったものが
言葉なり文脈から伝わってきて、本を読んだ時とは違った形で『週刊文春』の脈打っている感じに触れることが出来ました。