東武百貨店池袋店で開催されている伝統工芸品展 WAZA2018で、
出演されるTV番組での高いコメント力に、コラムでも独自の視点から存在感を放たれている山田五郎さんが登壇されるという事を聞きつけ、足を運んできました。
美術品と工芸品の望ましからざる区別
開演30分前に会場(東武百貨店池袋店 8F催事場)に到着すれば、既に用意されている50席が既に満席。
予想外の展開に「侮ってなぁー」と、会場後方、立ち見で良さそうな場所に陣取り開始時間までスタンバイ。
やがて壇上周辺の動きが目立ち、山田五郎さんも登場され講演スタート。最初は山田五郎さんがマイク片手に
重要文化財を認定するのは文部科学省だけれども、伝統工芸品は経済産業省になり、
美術品を工芸品が区分けされてしまっている好ましからざる状況に、日常で役に立たないほど美術的価値が上がる状況に・・
といった問題提起から始まり、やはりこれらは日常生活の中で使ってこそ価値があるといったご意見に、
時計のような精密機器でも、それぞれ個体差(当たり外れ)があるのは当然で、それを使い込んで行く楽しさといったお話しも。
また、伝統と聞くと、昔から変わっていないと思われがちだが、変わってないものは生き残れないなどの指摘も印象的で、
物にこだわりや愛着を感じやすい自分としては興味深い内容が続き、程なくその場の雰囲気に溶け込んでいきました。
伝統工芸の世界
本筋では、伝統工芸品として認定されるには・・
1.主として日常生活で使われるもの
2.製造過程の主要部分が手作り
3.伝統的技術または技法によって製造
4.伝統的に使用されてきた原材料
5.一定の地域で産地を形成
といった基礎要件が示され、
(トークイベント)中盤からはWAZA展に出展されている大堀相馬焼、九谷焼の職人さんを招いてディスカッション形式に発展。
大堀相馬焼は震災の影響が只ならぬ状況であったものの、技術革新で窮状を凌いできた経緯に、
九谷焼の方は尋常ならざる職人技に、若い頃から職人を支えていくといった、この世界での楽しみ方に・・
これまでの自分からすると場違いな感じは否めなったものの、「なるほど」「へぇ、そうなんだー」といった具合、
初めて知ることばかりで、この世界に触れるに良い機会となりました。
継承されてきた「ものづくり」の凄み
一見華やかな表舞台の裏側では、程度の差はあれども、技術の担い手/継承の問題はあるようで、
高度な職人技が時代を超えて生きながらえていくか否か、気になるところもありましたが、
今日この場に限っては山田五郎さんの語りに誘われ、しばし伝統工芸の世界の舞台裏を感じてくることが出来ました ^^