(2024年4月)月初、事業開発、事業戦略立案を専門とされている山中哲男さんの『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』を読了。
先々月頭に開催された
刊行記念イベントの対象書籍として入手していた経緯。
本書は、
“「最強のビジネススキルとは?」”(p1)
と冒頭1行目で掲げた問いに、
” ビジネスを推進するうえで、「アイデアを出す」「論理的に考える」「人前でしっかり話す」「人を率いる」といったことは確かにどれも重要です。
不確実性が高まる時代を生き抜くためにも、個人の能力を高めてくれるスキルの重要性は、今後も高まっていくはずです。
ですが、それでも私は、そのどれとも違うものに最強の名を授けたいと思っています。
それは、「相談」です。
相談こそが、最強のビジネススキルなのです。”(p1)
と受け、
” 20歳前後の私は、人生のどん底にいました。
・・中略・・
そんなとき、もともと焼き鳥居酒屋だった居抜き物件に出会います。これならコストもかからないし、素人の私でもできるんじゃないか。そんな軽い考えから、誰にも相談せずにプランを練りました。
転機は、これまた軽い考えから居酒屋経営に必要なお金を借りられないかを友人の親御さんに相談したことでした。”(p3)
なる出発点から
” 相談によって、次に何をすべきか、つまりネクストアクションが次々と見えるようになり、結果、実現したらうれしい未来をともに形にしていくことができたのです。”(p5)
と相談を駆使して未来を切り拓いていった原体験から今日に至るまでの軌跡が
序章 なぜ相談によってやりたいことが実現するのか 事業やアイデアを前進させるための3つの段階
1章 なぜ相談するのか 「みんなで考えて行動する」ことで得られる4つのメリット
2章 いつ相談するのか 「物事を前進させる」ための3つの相談タイミング
3章 誰に相談するのか ネクストアクションにつながる相談相手とその選び方
4章 何を伝えるのか 相談において必ず共有すべき3つのポイントとその伝え方
5章 どう聞いて動くか 相談で得た情報を最大限に活かす「聞き出し方」と「受け止め方」
終章 相談を成功に導く3つの習慣
の章立てに沿って、論が展開されていきます。
山中哲男さんご自身の経験に基づいて書かれたこと且つ結果を出されていく中でさまざまな相談を受ける立場にも就き、相談する側、相談される側の双方から(相談することで)得られるメリットが仔細に語られています。
更に、
” また、何かを意思決定できないときには、その手前に決めるべきことが決められていないケースが多いです。”(p68)
に、
” 反対に、目的と意義をすべて伝え、議論を尽くした結果「ヨコの関係」になり、熱量高く人を紹介してもらえるケースは、接点が明確ですよね。
会う前からお膳立てがあるので、相談が始まってすぐに、二人で同じ絵を見ながら率直に議論できる「ヨコの関係」になります。
これこそ、人と人が出会うべきタイミングだと思うのです。相談のための相談ができる人とは、人と人が出会うタイミングをつくる人、そう言えるかもしれません。”(p106)
等、相談を切り口として事業が軌道に載っていくプロセスが明瞭に記されており、その具体性から説得力が伝わってきます。
特に、印象に残った記載は
” 自分の考えが「思い込み」に縛られているかもわからず、行き詰まった状況を打破するための「ネクストアクション」も見出せず、ともに進んでいくための「応援し合える仲間」も見つからず、いつまで経ってもやりたいことの「解像度」も上がらない。”(p30-31)
と思い込みに気づき、思い込みを解くための手段として相談が力、威力を発揮するという指摘には、私自身にも思い当たる節が多々あり、「相談」を肝に銘じさせられました。