センターバックとして(イギリスの)プレミアリーグ サウサンプトン(Southampton Football Club)及びサッカー日本代表で活躍されている
吉田麻也選手の半生が綴られた『レジリエンスー負けない力』を読了。
先週末に参加したイベント↑対象書籍として入手していたもの。
イギリスの超大手と呼ばれる出版社から(出版)オファーが届いた際、逡巡している姿に編集者から
“「大丈夫、マヤには resilience があるから!」。
「 ri-zi-li-ens ・・・レジリエンス?」。一度聞いただけでは、スペルすら思い浮かばなかった。
日本語では「逆境力」「折れない心「復元力」「回復力」「耐久力」など、いろんな訳が当てはまる言葉らしい。僕的な解釈は「負けない力」。”(p7)
とタイトルに込められた思いの下、
吉田麻也選手がプロのアスリート=サッカー選手となり、海外に渡っての挑戦のこれまでの日々が記されています。
12歳の覚悟、そして海外で感じた異次元
12歳で長崎の親元を離れ、選抜された名古屋グランパスのジュニアユースに飛び込む際、
” 中途半端な状態で長崎に帰るわけにはいかないというプレッシャーが、僕の心に本気でプロを目指す覚悟を生むことになったのだ。”(p20)
と、若干12歳でのプロの世界で生きていくんだという覚悟に、
” 僕の中では、昔から海外のトップクラスに関する勝手なカテゴリー分けが存在する。
プレミアリーグのクラブで主軸と認められるレベルの選手は「化け物(モンスター)」。
そのさらに上をいき、バルセロナやレアルのような欧州チャンピオンズリーグ優勝候補常連でも主力中の主力で、世界でも屈指と思える選手が「宇宙人(エイリアン)」。
そんな、自分とは別世界にいると思っていた相手と戦えるのが、プレミアリーグの日常なのだ。”(p98)
という環境の中、
” ショックだった。遠く前方に見えた微かな希望の光は、またしても自分の希望的観測が見せた幻だったのかと、愕然としてしまいそうになった。
でも、だからといって、移籍2年目のような暗闇のドン底へと再び転落するわけにはいかない。あんな経験は一度でたくさんだ。”(p157)
ゲームに先発として出場できたり、或いはライバルに行く手を阻まれたりといった、これまでの苦悩、戦いの日々が記されています。
但し、悲壮感が前面に出てくるのではなく、前向きな言葉に余韻引きづられるのは、吉田麻也選手のキャラクターと云えるでしょう。
挑戦を下支えする「負けない力」
本書を手に取るまでは、日本代表の中心選手として、海外にも渡り、輝かしいキャリアを築いている(積み重ねている)のかと思いきや、
滑り込み入選したとの北京五輪代表試合で
” 「あの選手いいね」→「彼、ウチの選手です」→「じゃあ、獲ってみるか」という展開になった “(p52)
(オランダ)フェンロ ハイ・ベルデン会長の目に留まる活躍から、
“「どうして、そんなオランダの小さなクラブにわざわざ出ていくのか?」、そう言って猛反対する人もいた。
けれど、僕の中では「わざわざ」という感覚はなかったし、「そんな小さな」と言われても、「他に選択肢があるわけじゃないし」と心境だった。
監督のピクシーにも、海外移籍は「まだ早い」と言われた。それも何回も。”(p52-53)
と夢を実現させるべく果敢に海外(オランダ)に渡り、暗中模索の中で光を見出していくも、
故障に悩まされたり、或いは異次元の世界に直面したりする・・ 一進一退の状況の方が色濃く、
そこをタイトルにある「負けない力」で克服し、目指す自身の姿に近づけていっているキャリアを約250ページに及んで触れることの出来る著書です。