怪談・オカルト研究を(Xの)プロフィールに掲げられ、同分野で多数著書を上梓されている吉田悠軌さんの『中央線怪談』を読了。
サイン本入手機会に遭遇し、
また時期を同じくして
『中野ブロードウェイ怪談』を購入していたこと流れに乗っかり購入していたタイトル。
怪談 x 中央線 なる引力
本書は、
” 私は「中央線の民」です。高尾でも生まれ育ち、塾は遊びは八王子か立川、武蔵小金井の高校に通い、高円寺と阿佐ヶ谷に数年、新宿は十年以上在住。今も沿線に住んでいます。
だから分かります。東京駅と高尾駅ほど正反対な街はなく、八王子・立川はお互いをライバル視し、高円寺の貧乏若者と国立のセレブ夫婦では話が合いません。
しかしやはり皆、どこかで自分たちが「中央線の民」との矜持を持っている気がします。日本全国の各路線も同じでしょうが、これは郷土愛とはまた違う意識です。
既にある街(都道府県)の地域性に個々人が馴染むのではなく、各駅に住む人々が個を保ちながら緩く連帯していく。
・・中略・・
となると鉄道沿線怪談は、各地域のご当地怪談と比べ、個人史・郷土史のブレンド具合が一味違うものになりそうです。
実際、私が今回チャレンジした『中央線怪談』では、各駅に住む人々の個性と、各駅の土地の個性がうまく混在してくれたと自負しています。”(p2-3)
と中央線マインドを持った吉田悠軌さんが、
” また別の理由は、名称のように「おいでおいで」されるからだという。
「その踏切は人を呼び込む、との噂があり、呼び込まれた人が簡単に踏切に侵入できないようにポールが何本も建ててある、との話でした」”(p148)
に、
“「幽霊が一〇〇%パーセント出るから貸せなくなった部屋がある」”(p174)
など中央線(東京〜高尾駅)沿線舞台に知る人ぞ知る怪談話しをもとに、背景を探るなどして紡がれた三三篇(別途、コラム)。
私自身は当然ながら初めて知るものばかりで、しかも「中野近辺多いなぁ」と驚かされたり、ぞっとさせられたりしながら進行。
刺さりとしては「踏切、引越しといった要因がきっかけになって怪談は生まれやすいんだなぁ・・」と、馴染みあるエリアでの話しだけに場所が想像できる話しや描写が細かい話しには興味深くさせられました。