代官山T-SITEで開催された吉藤オリィx 乙武洋匡『サイボーグ時代』刊行記念・対談トークに参加。
同書の刊行記念トークイベントは(2019年2月)上旬にも参加していましたが、
乙武洋匡さんの登壇に興味も持って「今度も行ってみよう」と。
体現されるテクノロジー
序盤30分程度は吉藤オリィさんのパートで、自己紹介とは自分のことを忘れさせない時間との定義であったり、「我慢強い」とは本当に良い言葉か?といった投げかけなど。
その後、乙武洋匡さんが引き継ぎ、近況報告といった内容で、動画で「OTOTAKE PROJECT 2018」と題されたプロジェクトの紹介があり、義足を装着され、歩行されている姿などを視聴することが出来ました。
もっとも乙武洋匡さんご自身は「歩けるようになりたい」といった思いからではなく、
「あの乙武が歩けるようになったのだから、俺も行けるんじゃない」といった思いを持ってもらえたり、
広告塔的役割を担えることにある種の使命感を感じられて参画されているとのこと。
実際、乙武洋匡さんが歩行されている姿もインパクトありましたが、
動画の紹介の中で開発者の方が「乙武さんが、世の中で一番速く走れるようになっている・・」との思いを込められていたことに急速なテクノロジーの進化、潜在性を感じました。
皆が「ありがとう」と言われる適材適所社会
トークイベントの中で印象的であったのは、乙武洋匡さんがバリアフリー社会の実現(1. 意識の変化、2. 制度面の変化)を目指されているとのお話しがあった中で、
参加者から「吉藤オリィさんが、実現したいことは?」という質問に対して
「適材適所社会」という表現を用いて、障害をお持ちの方を例にすると「仕事をしたい」と思われている方々が60万人ほどいるが、
ツールの開発が追いついていない現実があり、皆が皆から「ありがとう」と言われる社会を実現したいとの思いをお持ちであると。
冒頭の「我慢強い」に対しての回答も、これまでは我慢してしまうことの方がコストが低く済んだが、
今は問題を乗り越えられるツールが次々と開発されており、個人の「何がしたいか?」という思いが、とても重要になっていると言及。
乙武洋匡さんは一昨年(2017年)、世界37ヶ国を放浪されてきたそうで、
日本社会が他人に迷惑をかけてはいけないという(自分のことは自分でしなくてはいけない)独特な思い込みに囚われているとの特徴を述べられており、
吉藤オリィさんは、自分のことを何でも自分でしなければいけないことを万能主義社会と表現され、その弊害を指摘。
続々とテクノロジー開発が実現していっている現実認識に、個々人の固定観念等が取り払われていけば、「未来に対する捉え方も全然違ってくるだろうなー」と強く実感。
また、乙武洋匡さんの前向きな姿勢もとても印象的で、自虐ネタに ^^ 或いは参加者からの「腕があったら?」との問いに
「う〜ん」としばし熟考され「短いけど腕と口があれば、だいたいのことは出来ちゃうからなぁ」と、
自分が先入観、偏見を持っていた部分も実感させられ、
これまで同じ本のイベントに参加した経験がなかったように記憶していますが、いろいろ考えさせられ、発見を得られて対談トークでした。