先月(2020,年11月)発表の全米図書賞受賞で本書を知り、
柳美里さんのツイートで ↙️
とコレクター心を多分に刺激され ^^「サイン本出ていたら欲しいな」と思っていたところ
後日、それそのものではないながら同書のサイン本を見つけ
入手していた経緯。
奪われし心の住処
あらすじは、裏表紙で
” 高度経済成長期の中、その象徴ともいえる「上野」を舞台に、福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の一人の男を生涯を通じて描かれる死者への祈り、そして日本の光と闇・・・。”
で捉えつつ、頭の中で情景を描き切れなかった部分、柳美里さんの
” この小説を構想しはじめたのは、十二年前のことです。
二〇〇六年、ホームレスの方々の間で「山狩り」と呼ばれる、行幸啓直前に行われる「特別清掃」の取材を行いました。
・・中略・・
彼らと話して歩き、集団就職や出稼ぎで上京してきた東北出身者が多い、ということを知りました。”(p168)
と背景に迫った「単行本版 あとがき」や原武史さんの
” ここでいう「市井の人々」は、地域共同体にしっかりと根を下ろした人々を意味している。
しかし本書の主人公の男性は、そうではない。福島県の浜通りに当たる相馬郡八沢村で生まれ育ち、結婚して所帯を持ちながら、最寄り駅である常磐線の鹿島駅から列車に乗り、二度にわたり上京しているからだ。”(p172-173)
といった一文を含む「解説 天皇制の<磁力>をあぶり出す」で追補する形となりましたが、
家族の死に直面した際の描写や
” いつも居ない人のことばかりを思う人生だった。側に居ない人を思う。この世に居ない人を思う。”(p102)
に
” 目を閉じるのが、怖かった。幽霊のようなものが怖いのではない。死が、自分が死ぬことが怖いのではない。
いつ終わるのかわからない人生を生きていることが怖かった。全身にのしかかるその重みに抗うことも堪えることもできそうになかった。”(p122)
等々から形作られる情景に、重くのしかかってくる心理描写に、読み手に浅からぬ爪痕を残されます・・